ここでは、タロットの小アルカナ、ペンタクル（金貨）の14枚を解説します。
ペンタクルは四大元素の「地」に属し、物質・金銭・現実・生活基盤といったテーマを象徴します。努力や忍耐を通して手にする成果や安定、現実に根差した成長を示すスートです。
大地はしっかりと根を張り、時間をかけて実りをもたらす性質を持ちます。ペンタクルのカードもまた、安定や豊かさを授ける一方で、停滞や執着、物質への依存を映し出すことがあります。
ペンタクルの1（エース） Ace of Pentacles
キーワード
【正位置】豊かさの始まり、金運上昇、現実的な成功、チャンス、安定した基盤、新しい仕事、収入、成果、繁栄、現実化
【逆位置】機会の損失、不安定、浪費、停滞、金銭トラブル、投資の失敗、実現しない計画、現実逃避、未熟さ、焦り
カードの意味
【正位置】
ペンタクルのエースは、物質的・経済的な豊かさの始まりを象徴します。仕事や収入、新しいビジネスのチャンスなど、現実的な成功へつながる扉が開かれるタイミングです。努力の芽が出始め、安定した基盤を築く第一歩を踏み出せるでしょう。具体的な形で成果が現れる可能性が高く、堅実さと実行力が未来を切り拓きます。
【逆位置】
逆位置のペンタクルのエースは、せっかくのチャンスを逃したり、物質的な不安定さに直面している状況を表します。浪費や焦りによって成果が実らず、計画が途中で頓挫することもあるでしょう。また、地に足のつかない願望や現実逃避が強まる時期でもあります。今は無理に拡大を求めるよりも、足元を見直し、確かな基盤を整えることが求められています。
ペンタクルの2 Two of Pentacles
キーワード
【正位置】バランス、両立、柔軟性、調整、適応力、変化への対応、器用さ、リズム、優先順位、状況のコントロール
【逆位置】不安定、混乱、バランスの崩れ、忙殺、優柔不断、浪費、計画倒れ、焦り、適応できない、整理不足
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの2は、複数の物事を同時に扱いながらバランスを保つ姿を象徴します。仕事と生活の両立、収支の調整、人間関係や役割の兼ね合いなど、柔軟に対応する力が試される時期です。変化の波の中でもリズムをつかみ、器用に立ち回ることで安定を保つことができます。優先順位を意識し、流れに合わせて行動することで状況をコントロールできるでしょう。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの2は、バランスを崩し混乱に陥っている状態を表します。やることが多すぎて整理できず、忙しさに追われているかもしれません。優柔不断や浪費によって成果が上がらず、状況が不安定になることもあります。焦らず一度立ち止まり、優先すべきことを明確にして計画を立て直すことが必要です。
ペンタクルの3 Three of Pentacles
キーワード
【正位置】協力、共同作業、計画、専門性、努力の成果、学びと成長、評価、信頼関係、チームワーク、技術の発展
【逆位置】不和、協力不足、未熟さ、計画の甘さ、評価されない、自己中心的、力量不足、停滞、怠慢、誤解
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの3は、他者との協力や共同作業によって成果を築いていく段階を象徴します。専門的な技術や計画性を活かし、周囲からの信頼や評価を得られる時期です。学びや経験を通じて成長し、努力が具体的な形となって現れるでしょう。チームワークや協力関係を大切にすることで、さらに大きな成功へとつながります。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの3は、協力体制がうまく機能していない状況を表します。チームの不和や自己中心的な態度、未熟さが原因で計画が停滞することもあります。また、努力が正当に評価されず不満を感じやすい時期でもあります。独りよがりにならず、周囲との信頼関係を見直すことで改善の糸口が見えてくるでしょう。
ペンタクルの4 Four of Pentacles
キーワード
【正位置】安定、所有、守り、経済的基盤、独占欲、節約、固執、安全志向、自己防衛、保守的姿勢
【逆位置】執着、強欲、不安定、損失、孤立、心の貧しさ、浪費、過度な防衛、柔軟性の欠如、停滞
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの4は、得たものをしっかりと守り、安定を確保しようとする姿勢を象徴します。経済的な基盤を固めることや、節度ある管理によって安心感を得られる時期です。ただし、守りに偏りすぎると、新しい流れを受け入れにくくなることもあります。堅実さは力となりますが、心の柔軟さも忘れないことが大切です。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの4は、所有や安定への執着が強くなりすぎ、逆に不安定さを招いている状態を表します。強欲や独占欲によって人間関係がぎくしゃくしたり、損失を恐れるあまり行動できなくなることもあります。また、浪費やだらしなさで基盤を崩す場合もあります。執着を手放し、必要な柔軟性を持つことが前進の鍵となります。
ペンタクルの5 Five of Pentacles
キーワード
【正位置】困難、貧困、孤独、経済的損失、不安、病気、困窮、支えを求める心、試練、排除感
【逆位置】回復、救済、再生、希望の兆し、援助、立ち直り、困難からの脱却、光明、支援の出現、復活
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの5は、経済的・精神的な困難や孤立感を象徴します。金銭的な損失や生活の不安、心身の疲れなど、厳しい状況に直面していることを示します。また、孤独感や社会からの疎外感を感じやすい時期でもあります。しかし、このカードは同時に「助けは近くにある」という暗示も含んでいます。困難の中で周囲に手を差し伸べ、支えを求めることで光明が見えてくるでしょう。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの5は、困難を乗り越え、回復の兆しが見えてくる段階を表します。これまでの不安や孤独から抜け出し、支援や援助を得て立ち直ることが可能です。試練を通して得た学びは、再生のための大きな力となります。希望を失わず、一歩ずつ進むことで新しい未来へとつながっていきます。
ペンタクルの6 Six of Pentacles
キーワード
【正位置】分かち合い、援助、慈善、支援、与える喜び、受け取る恵み、助け合い、バランス、思いやり、公平さ
【逆位置】不公平、支配、依存、搾取、偏った関係、裏の見返り、自己犠牲、恩着せ、力関係の不均衡、条件付きの支援
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの6は、与えることと受け取ることのバランスを象徴するカードです。経済的・精神的に余裕のある人が支援を与え、困っている人がそれを受け取るという「分かち合い」の循環を表します。これは単なる施しではなく、互いの関係性を豊かにし、信頼や調和をもたらす行為です。公平さや思いやりを大切にすることで、良好な人間関係や繁栄につながるでしょう。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの6は、与える側と受け取る側のバランスが崩れた状態を示します。不公平な力関係や、支援が裏に条件や見返りを伴う場合もあります。また、依存や搾取によって健全な関係が成り立たないこともあるでしょう。支援を与えるときは見返りを求めない心を、受け取るときは感謝と自立心を忘れないことが求められています。
ペンタクルの7 Seven of Pentacles
キーワード
【正位置】努力の途中、忍耐、経過観察、成長の過程、成果を待つ、投資、見直し、計画の調整、長期的視点、着実な進展
【逆位置】停滞、焦り、徒労感、結果が出ない、計画の失敗、短期志向、怠慢、諦め、見通しの甘さ、迷い
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの7は、努力が実を結ぶまでの「途中段階」を象徴します。すでに積み重ねてきた努力や投資があるものの、まだ大きな成果には至らず、忍耐と継続が求められる時期です。ここで焦らず成長の過程を見守ることが、最終的な収穫へとつながります。また、計画を振り返り、改善点を見直す良い機会でもあります。長期的な視点を持つことが大切です。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの7は、成果がなかなか現れず、焦りや徒労感に陥っている状況を表します。努力が報われないと感じたり、短期的な利益を求めすぎて計画が頓挫する可能性もあります。また、怠慢や迷いによって停滞していることも。大切なのは、諦めるのではなく方向性を冷静に見直すことです。視野を広げれば、新しい可能性が見えてくるでしょう。
ペンタクルの8 Eight of Pentacles
キーワード
【正位置】熟練、努力、技術習得、研鑽、集中、自己成長、勤勉、実力向上、細やかな作業、積み重ねによる成果
【逆位置】未熟、怠慢、中途半端、飽き、成長の停滞、努力不足、妥協、焦り、粗雑さ、技術の未完成
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの8は、地道な努力と研鑽を通じて技術や知識を高めていく過程を象徴します。集中力をもって一つのことに取り組むことで、着実に力が身につき、成果へとつながる時期です。繰り返しの作業や細やかな努力が大切であり、それが自己成長や専門性の向上につながります。勤勉さが未来の豊かさを築く鍵となるでしょう。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの8は、努力不足や中途半端な姿勢を示します。学びを途中で投げ出したり、集中を欠いて成果が得られない状態です。また、飽きや怠慢から雑な取り組みをしてしまうこともあるでしょう。結果を焦るよりも、基礎から丁寧に取り組み直すことが求められています。努力を怠らず続けることで、停滞は解消されます。
ペンタクルの9 Nine of Pentacles
キーワード
【正位置】自立、豊かさ、成功、物質的安定、洗練、優雅さ、精神的余裕、満足感、成果の享受、自信
【逆位置】依存、浪費、孤独感、偽りの豊かさ、不安定、虚栄、未熟さ、過信、表面的な成功、満足できない心
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの9は、努力の成果として得られる豊かさや自立を象徴します。物質的にも精神的にも安定し、安心して成果を享受できる時期を示します。自信にあふれ、洗練されたライフスタイルや優雅さを楽しむことができるでしょう。ここまでの努力が実を結び、心にも余裕が生まれます。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの9は、外面的には豊かさがあっても、内面的に満たされていない状態を表します。過度な浪費や依存、虚栄心によって本当の安定が得られず、不安や孤独を感じることもあるでしょう。また、自立できていないために自由を制限されている可能性もあります。形よりも心の充実を大切にすることで、真の豊かさに近づけます。
ペンタクルの10 Ten of Pentacles
キーワード
【正位置】繁栄、家族の絆、財産、継承、安定、伝統、幸福、世代を超えた豊かさ、信頼関係、長期的成功
【逆位置】不和、金銭トラブル、遺産問題、家庭内不安、停滞、断絶、価値観の不一致、不安定な基盤、表面的な繁栄
カードの意味
【正位置】
ペンタクルの10は、物質的・精神的に満ち足りた繁栄と安定を象徴します。家族や大切な人との絆が深まり、世代を超えた継承や支え合いを意味するカードです。長期的に安定した成功や豊かさを築ける時期であり、努力が結実し、安心と幸福がもたらされるでしょう。伝統や信頼に基づいた関係性が、さらなる発展の土台となります。
【逆位置】
逆位置のペンタクルの10は、家庭や財産に関する問題を示唆します。遺産や相続のトラブル、金銭的な不和、価値観の対立が生じやすい時期です。表面的には繁栄が見えても、内面に不安定さを抱えていることもあります。安定を保つためには、信頼関係を再確認し、誠実に問題と向き合う姿勢が求められています。
ペンタクルのペイジ Page of Pentacles
キーワード
【正位置】学びの始まり、向上心、努力、現実的な目標、新しい計画、成長、勤勉、チャンス、探求心、基礎固め
【逆位置】怠慢、未熟、計画不足、現実逃避、集中力の欠如、失敗、浪費、努力不足、見通しの甘さ、目標喪失
カードの意味
【正位置】
ペンタクルのペイジは、学びや新しい挑戦の始まりを象徴します。現実的な目標に向かって努力する姿勢を表し、知識やスキルを身につける好機を示しています。基礎を固め、コツコツと取り組むことで成長につながり、成果が形となって現れるでしょう。真面目さと勤勉さが未来を切り拓くカギです。
【逆位置】
逆位置のペンタクルのペイジは、集中力の欠如や努力不足を示します。計画が甘く、現実を直視できないまま進んでしまうことで失敗につながることもあります。また、学びを怠ったり、浪費によってチャンスを逃す可能性も。地に足をつけ、基礎からしっかり積み重ねる姿勢が必要です。
ペンタクルのナイト Knight of Pentacles
キーワード
【正位置】勤勉、堅実、忍耐、誠実、責任感、着実な努力、安定、実直さ、計画性、継続
【逆位置】停滞、退屈、怠慢、視野の狭さ、融通の利かなさ、頑固さ、停滞感、効率の悪さ、消極性、硬直
カードの意味
【正位置】
ペンタクルのナイトは、地道な努力と忍耐によって確実に成果を積み上げていく人物を象徴します。真面目で誠実に物事へ取り組む姿勢は、すぐに派手な結果を生まないかもしれませんが、長期的な安定を築く力となります。計画性と継続力を重視することで、信頼や成果を手にすることができるでしょう。
【逆位置】
逆位置のペンタクルのナイトは、努力が停滞していたり、視野の狭さや頑固さから進展がない状態を表します。怠慢や退屈さによってやる気を失い、効率の悪さに悩まされることもあります。柔軟さを欠いた姿勢が停滞を招いているため、視点を変えたり新しい工夫を取り入れることが求められています。
ペンタクルのクイーン Queen of Pentacles
キーワード
【正位置】豊かさ、安定、現実的、家庭的、思いやり、面倒見の良さ、安心感、経済的安定、堅実、育成
【逆位置】不安定、浪費、依存、怠慢、過保護、自己犠牲、現実逃避、管理不足、支配的、心の余裕の欠如
カードの意味
【正位置】
ペンタクルのクイーンは、現実的で堅実な姿勢と、思いやりや包容力を兼ね備えた人物を象徴します。家庭や仕事において安定を築き、経済的にも精神的にも安心感を与える存在です。周囲の人を支え育む力を持ち、豊かさを分かち合うことで信頼を深めます。物事を地に足のついた視点で判断し、堅実な成功を導くカードです。
【逆位置】
逆位置のペンタクルのクイーンは、経済的な不安定や心の余裕の欠如を示します。過保護や依存傾向が強まり、自己犠牲的になりすぎてしまうこともあります。また、浪費や管理不足により安定を崩す可能性もあります。現実を直視し、自分自身の心身を整えることで、健全な豊かさを取り戻すことができます。
ペンタクルのキング King of Pentacles
キーワード
【正位置】成功、安定、富、信頼、経営力、責任感、現実的判断、繁栄、堅実、達成
【逆位置】強欲、停滞、浪費、独善、物質偏重、保守的、支配的、柔軟性の欠如、依存、頑固さ
カードの意味
【正位置】
ペンタクルのキングは、豊かさと成功を現実の形で手にした人物を象徴します。責任感が強く、経営的な能力や現実的な判断力を備えており、組織や家庭を安定へと導きます。堅実さと努力の積み重ねが繁栄を築き、信頼できるリーダーとして周囲に安心感を与える存在です。長期的な成功と安定の象徴ともいえるカードです。
【逆位置】
逆位置のペンタクルのキングは、物質的な成功に執着しすぎたり、強欲さや独善的な態度が表れている状態を示します。保守的になりすぎて停滞したり、浪費や依存によって安定を失うこともあります。また、支配的で柔軟性に欠ける姿勢は、周囲との不調和を生む原因となるでしょう。健全な豊かさを守るためには、誠実さと調和を取り戻すことが必要です。
ペンタクルは、大地のカード。
コツコツと積み重ねた努力が、やがて実りとなって返ってきます。
焦らず歩むことで、安心や豊かさが自然とあなたの手に届くはずですよ。
💰 ペンタクルにまつわる豆知識
ペンタクルのスートは、もともと「コイン（貨幣）」として描かれていました。マルセイユ版など古いタロットではフランス語で 「Denier（デニエ）」、イタリア語では 「Denari（デナーリ）」、スペイン語では 「Oros（オロス＝金貨）」 と呼ばれており、どれも貨幣を意味する言葉です。つまり、ペンタクルはもともと「生活の基盤としてのお金や財産」を象徴するカードでした。
その後、1909年に登場したライダー＝ウェイト版タロットでは、コインの中に 五芒星（ペンタグラム） が描かれるようになりました。五芒星は西洋オカルティズムにおいて「火・水・風・地・精神」という五大要素を表す神聖な記号であり、魔除けや調和のシンボルとしても知られています。
こうして「コイン＝現実的な豊かさ」と「五芒星＝宇宙的・精神的な調和」が重なり合い、ペンタクルは単なるお金の象徴を超えた、奥深い意味を持つスートへと発展していったのです。
